バンクーバー郊外に親子で移住!2023年版

バンクーバー郊外に親子で移住して3年が経過しました。バンクーバー郊外での生活、子供のバイリンガル教育に奮闘する毎日を綴っています

子供へのバイリンガル教育って良いの?悪いの?

 幼少期から英語を学ばせるにあたって、日本でよく言われている幼少期から多言語の環境に入れることは子供にとって言語の形成に悪影響を与えるのではないか、どちらの言語も中途半端(セミリンガル、ダブルリミテッドとも呼ばれる)になってしまうのではないかと不安になったり、悩んだりすることもあると思います。

 実際私の周りでも早期バイリンガル教育は子供の言語発達に悪影響を与える、まずは母国語をしっかりと確立してから英語を学んだほうが良いという意見も多く聞かれます。では、海外ではバイリンガル教育はどのように捉えられているのだろうと視点を移したときに、移民の多いカナダでは両親や祖父母が話す言語とカナダの公用語である英語(一部の州はフランス語)の2ヶ国語の環境に幼少期からいることは自然で、海外の言語学の博士が書いた専門書にもバイリンガル教育の優位性が記載されています。書籍に書かれていた内容とそれに基づく実体験から感じたことをまとめておきたいと思います。

 ただ、その書籍の内容は決して母国語を疎かにして良いということではなく、2言語を学ぶことの優位性を記したものです。

1. バイリンガル教育における優位性

For children, advanced knowledge of two languages has been shown to result in specific brain benefits, like enhanced creativity and flexibility, increased test scores, and improved literacy skills, as well as social advantages such as greater cross-cultural understanding, adaptability, and increased competitiveness on the job market down the line.

Bilingual Edge(KendallKing, PH.D/ Alison Mackey, PH.D)

2言語以上を獲得することの優位性

  1. 創造性や柔軟性の向上
  2. 異文化をより理解できる、適応性の向上など社会的利点をもたらす
  3. ジョブマーケットで競争力を強化できる

 日本人にとって第二言語である英語学習の目的は、英語を話せるようになることで、3のジョブマーケットで優位性を保てるということだけにフォーカスをしがちですが、2ヶ国語以上身につけるということは、単に英語が話せるということに留まらず、その他1.創造性や柔軟性の向上、2.異文化理解、適応性の向上などの優位性があるということも注視したい点です。近年では、韓国のミュージシャン防弾少年団(BTS)のメンバーがニューヨークの国連本部で世界中の若者に向けて流暢に英語のスピーチをしたり、リリースした曲が米ビルボードで1位を取得するなど、バイリンガル教育を受けてきた世代が活躍の場を世界に広げて成功している姿も見られるようになりました。

 このアドバンテージは、単に第二言語で挨拶ができるということに留まらずある程度ハイレベルで2言語以上を獲得したときに当てはまります。従って、第二言語の習得と同時に母国語もしっかりと強化していくことが重要となります。

2. 第二言語を学ぶことに対しての神話と誤認識

 以下に記載されていることは、私が子供の頃、数十年前までは巷でよく言われていましたが、これらは誤認識であると専門書のBuilingal Edgeには記載されています。

バイリンガルである両親しかバイリンガルの子供を育てられない=>❌

母国語を獲得している親であれば例え両親が1言語しか話さなくても2言語以上話す子供を育てられる。

幼少期から教育しないとティーンエージャーになってからではもう遅すぎる=>❌

  バイリンガル教育プログラムは、早すぎる、遅すぎるということはなく、年代に適した方法で実施していくことで何歳から実施しても全ての子供にとって有益となりえます。

 確かに英語環境に入っていくときの恐怖心の少なさ、発音や多く言語の音を聞き分けて正確に捉える耳を鍛えるということを考えると自分の子供たちを見ていて、4−5歳から始めた方が苦労は少ないのだろうなと感じますが、決して遅すぎることはないということです。単語や文法などの吸収力は10代の方が早いという研究結果もあります。

間違えたらすぐに指摘して直さないといけない=>❌

間違えをその都度継続的に修正することは、良くすることより害になるということです。私もこの本を読む前は間違いは指摘しないといけないと思っていたのですが、これは子供の立場になってみると納得です。話すたびに直されていたら話す気がだんだんなくなってしまうと思います。

同じ言語環境で育った兄弟の言語スキルは同様となる=>❌

やはりその子の生まれ持っているもの、性格、社会的/情緒的発達進度も寄与しますので、自分の子供たちを見ていても、内気でじっくりと一つのことに打ち込む上のお兄ちゃん(10歳)に比べて、怖いもの知らずで何にでも興味を持つの下の娘(6歳)は、英語も日本語も流暢によく喋り、言語獲得のスピードが速いと感じます

2言語の環境に入れることで言語の発達が遅れる=>❌

 本の中で言語学者のDr. Kendall King PH.D.とDr. Alison Mackey(PH.D.)leaning two language is not cause of language delay(2言語学ぶことで言葉の遅れは生じない)と明言してしています。2つの言語を獲得するには、意識的に第二言語を生活の中に取り入れていく必要はありますが、最初のブログの記事にも書いた通り、4歳半でバイリンガル教育を始めた長女は、6歳になった今、流暢に英語、日本語共に言語脳を切り替えて話します。子供の言語吸収能力は大人の比ではなく、グングン吸収するということを目の当たりにしました。

2言語をミックスして話すことは混乱していることのサインなので、分けて話させないといけない(1人の親は1言語を話すべき)=>

 ほとんどの子供は話すときに母国語と第二言語が混ざるある一定期間を経てバイリンガルになっていくので、これは普通のことであり、厳格に言語を切り分けて話させたりする必要なく、現実的ではないと言われています。私の娘は現在6歳で4歳半からバイリンガル教育を開始して、1年半になりますが、両親と日本語で話すときにいくつかの単語だけ英語になることがありますが、そのような時期なのだと見守って正すようなことはしないようにしています。たまに子供が言ったことを反復するようにして、その時に正しい日本語の単語にして話し返すようにして、自然に身につけていけるように導いています。

3. グローバル社会で生き残っていくために子供達にできることは

 私は多国籍企業に勤めていて、近年、同僚には中国人、インド人などが増えてきています。彼ら彼女達は、2ヶ国語、人によっては3−4ヶ国語を操り、周りのメンバーとも友好的な関係を築くのが上手でとても優秀です。特にジョブマーケットの競争が激化している中国では、自国を出て海外で働く人が増えており、英語はもちろんのこと将来自分が働きたい国が日本であれば、日本語も身につけることは当然のこととして子供の頃から言語を学ぶそうです。またここバンクーバーには母子・親子留学をしている多くの韓国人、小学校から単身で留学している中国人もいて、子供への投資として異文化環境における第二言語教育にお金をかける家庭が増えていることを実感します。

逆に英語以外の母国語しか話せないということは私達(40代)の時代までは、伝統的な日本の会社に勤めればなんとか通用したかもしれませんが、ますます競争が激化する子供たちの世代では、グローバル社会で生き残ることは難しいのではないかと危機的に感じています。バイリンガル教育をするにあたって、何歳からでも遅すぎることはないと専門書には記載されています。様々な物を買ってあげたり、お金を残す代わりにもう一つの言語のギフトを子供達に贈ってあげるというのも一生涯役に立つ有益なプレゼントの一つではないかなと感じています。

 具体的な方法は、文中に引用している書籍(Bilingual Edge)に年齢別に分けて記載されていますので、洋書ですが、興味がある方はぜひ読んでみることをお勧めします。私自身とても参考になり、自分が試せるところから試して地道に続けています。(今後のブログで実践していることを紹介していければと思います。)何よりもバイリンガル教育をすることへの不安や迷いがなくなり、自信を持って実行できるようになったことが最大のメリットでした。